講義紹介 2017年10月(フランス語講座)

『方法叙説』第二部を読み終えました。
第二部では、デカルトが学生時代に何を学び、いかにしてそれらに別れを告げ、その後いかにして自身の理性を導いていったかが語られ、有名な四つの格律もここで示されています。「私」を主語とする哲学の文体は未曾有のもので、一見あっけらかんとしていながら重大な事柄をさらりと言ってのける語り口は、デカルトが尋常ならざる人物であることを感じさせます。その一行の背後に彼のそれまでの人生が控えている。当座考えたことを書き留めた文章は所詮当座の生命しか持たないでしょう。
十月末から読み始めた第三部の冒頭では、理性の命令はさることながら現実にどう身を処すべきか、という問題が扱われています。政治、価値観、あらゆる側面で不安定であった時代にあっては、生存こそが第一の課題であり、建前だけの議論などもはや無意味でした。『方法叙説』を読んでいると、精神の暢達さと切迫感とを同時に感じます。現代においてこの書を読む意義は実にここに在るのです。
(三村)

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