講義紹介 2017/11/07(火)

火曜日の古典ギリシア語講座では引き続きエウテュプローンを読み進めています。
11月7日には、3Dの以下の部分の解釈を扱いました。

ἔχω ἐκκεχυμένως παντὶ ἀνδρὶ λέγειν,
οὐ μόνον ἄνευ μισθοῦ, ἀλλὰ καὶ προστιθεὶς ἂν ἡδέως,
εἴ τίς μου ἐθέλει(ἐθέλοι) ἀκούειν.

誰かが私の話を聞くつもりなら、報酬なしでというだけではなく私のほうから喜んで支払って、全ての人に惜しみなく話をする。

「~するつもりである(不定法:εθελειν )」という語がバーネット版と他のプラトン全集とで異なる変化形を採用していることを齋藤先生が指摘され、様々な版を比較しました。
バーネット版(1900年、オックスフォード) εθελει 直説法
ステファヌス版(1578年、ジュネーヴ)、シュタルバウム版(全一巻本、1873年、ドイツ)、ディドー版(1855年、フランス)、オックスフォード最新版(現代の学者の連名による校訂) εθελοι 希求法

希求法は条件節において、蓋然性が低いできごとを表すために用います。英語の仮定法にあたる表現です。
バーネット版のソクラテスは「私の話を聞いてくれる人が実際にいるはずだ」と考えており、伝統的な読み方におけるソクラテス――「私の話を聞こうとする人がいるか分からないが、もしそのような人がいれば」というニュアンス――と比べて楽観的です。
バーネットは写本のうちから独自の解釈に基づいてこの読みを採用したのですが、数多くの注釈書で批判を受けてオックスフォード最新版では伝統的な解釈に戻っています。

(阿部)

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