12月のフランス語講座では『方法叙説』第三部の読解を行っています。第三部では宗教戦争の時代に旅する哲学者であるデカルトが 、まず今を生き抜くために生活上大切にしていた四つの格律が述べられます。自らの生存がかかった現実世界での判断は一刻の猶予も 許さないものであり、そこに哲学上の思索と全く同じ方法で臨んでいてはデカルトはかの時代を生き抜けなかったのです。ここで述べ られる生活上の教えはともすれば哲学的探求の成果以上に私達の生活に資するかもしれないものであり、またデカルトの生活者の態度 を伺い知る上でも重要なテクストだといえるでしょう。
また今月は、世界史講座と関連づけまして土曜日のテーマである仏教とデカルトの関連性が述べられました。デカルトの「我思う故に 我あり」とはまさに仏教学の唯識に他ならず、洋の東西を問わず、共通して到達する見地はありうるという、仏語学と仏典籍の展観を 同じ教室で行う原典研究所ならではの重要な洞察であると感じます。
(板尾)