『原典黙示録』第42回(2/20) 講義録

『原典黙示録』第42回 講義録

田中大

人類はフランス革命以降、二百年あまりの星霜を閲した。その間に、様々なイデオロギーが呱々の声をあげ、増殖し、歴史は大きくうねり変転した。本講義で原典式人文学によって様々な角度から示されてきたことは、この激動の歴史が愈々臨界点に達しようとしているということである。目下、事態は小康状態を迎えたかの如くである。しかし、先生の洞察は、これを衆人環視のもとでのファルスと看破する。『プラハの墓地』の中に、現在の国際政治情勢における主要なActorは全て描かれていた。今起こりつつあることを正確につかみ取るためには、まず彼らに注目すればよい。

表舞台で自ら力を揮っているかに見える者たちも、ただ与えられた役割をこなしているに過ぎない。彼らは自身の言葉をもたない者たちである。言葉をもたぬ者は、己の決断により自らの手で選び取ることがない。彼らがどれほど声高に自由という言葉を口にしようとも、それは単なるスローガンでしかあり得ず、彼らにとって自由が真の意味で問題となることは決してないのである。そのような生はただ単に生きられただけのものであって、ゆえに人生と呼ぶには値しないものだ。

原典研究所においては、現実の中で自由に生きることそれ自体が、常に第一の問題とされてきた。私がそれを切実なものとして引き受けることができるのは、先生の長き実存的闘争の壮絶さが、講義における語りの一言一言のうちに聴き取られるからである。しかし、時代は変わろうとしている。今や、先生の玄鑒は、目の前の暗澹たるかに見える時局を貫通して、来たるべき自由の時代を見据えている――永遠に等しい重量をもったであろう「五十年の孤独」Cincuenta Años de Soledadの果てに。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です