『原典黙示録』第47回(3/27) 講義録

『原典黙示録』第47回 講義録

田中大

現在の政治的な膠着状態においては、水面下の状況を直接示す情報は全く出てきていない。しかし原典研究所にとって、これは本質的な問題ではない。先生が繰り返し強調されるように、問題は情報ではなく、体験だからである。このことを心得た精神にとって、来たるべき嵐に先立つ静けさは、単なる無意味な沈黙ではあり得ない。この静けさを適切に聞き取ることによってはじめて、到来せんとする嵐を察知し、かつその実態を正確に見通すことができるのである。

この静けさの底には、二千年分の憎悪の呻き声が陰々と響きわたっている。本講義を受け続けてきた私たちには、今やその声がごく自然に聞こえてくる。この憎悪の源泉たるイデオロギーこそ、『原典黙示録』が、ひいては〈記述論〉そのものが、最も重大な問題として挑んできたものであるのだ。

イデオロギー闘争の時代の只中に登場した一連のポストモダン思想は、肯定的価値をほとんど提示できずに、最後には新たなイデオロギーに奉仕する道具になり果てた。ポストモダン思想はニヒリズムに終わったのである。こうして全てがニヒリズムに溶け込もうとしたとき、記述論は〈ニヒリズム〉に始まった。ある若き実存が受難の果てに辛うじて書き上げた『氷河紀』という〈遺書〉から始まる〈全体験変容〉が、まさに時代の終わりの嵐の吹き荒れようとする時、己自身の切実な体験として私の上に降りかかりつつあるのを確かに感じる。

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