『原典黙示録』第48回 講義録
田中大
今回の講義の冒頭では、原典研究所で3年間(2015年8月第1週〜2018年7月最終週)に亘って開講された『言語史・宗教史・文化史を中心とした 世界史概説』のシラバスが改めて確認された。
(以下は、『世界史概説』開講に際して配布されたシラバスの一部である)
【第1講】古代メソポタミア
【第2講】古代エジプト
【第3講】古典古代
【第4講】ユダヤ教
【第5講】キリスト教
【第6講】イスラム教
【第7講】仏教
【第8講】儒教
【第9講・特別講義】共産主義とは何(であった)か
【第10講・特別講義】世界史の中の日本近現代
『世界史概説』においては、全150回の講義の中で、以上の第1講から第8講までの内容が取り扱われた。それは全古代世界を、古代言語によって記述された〈テクスト〉を通して旅する精神の大航海であった。この連続講義はそれ自体で完結した全体をなすのであるが、そこには後に展開する全世界史が胚胎されていた。単なる表面的な因果連関の物語を越えて、生きた精神をもつ人間の歴史というものをありのままに捉えるためには、世界史はこの地点から理解されねばならないのである。
『原典黙示録』は『世界史概説』を踏まえ、以上の第9講・第10講の「特別講義」の問題に挑むものである。共産主義という問題も、日本近現代史の問題も、これほど広い射程の下に論じられることは未だ嘗てなかったに違いないが、これだけのことをしなければ膨大に残された言葉の中に溺れ、主題の輪郭すら正しく捉えることはできないだろう。したがってこのような問題に関して今日までに展開されてきた全ての言論は、乗り越えられるべきものである。そしてこうした言論を粉砕し、その先に新たな倫理を打ち立てるだけの威力をもっている点で、この講義は人文学が政治的実践に転化する臨界点をなし、そこにおいて語られる言葉はそれ自体が根源的なアンガージュマンとなるのだ。