『原典黙示録』第49回 講義録
田中大
我々は、現在自らが置かれている状況をいかにして把握することができるのか。現在起こりつつあることをどのようにして知ることができるのか。正しい情報の辿り方、というものがある。これが今回の講義の主題である。我々が知るべきことは現在に至る世界史の「全体」であるが、様々な経路から伝えられる情報はみな断片的なものである。断片を遮二無二かき集め、それらをいくら集めて綴り合せても、そこから一貫した世界像が見えてくるはずもない。
我々は、アナログ的な領域における検索と読解によってのみ、統一的世界像を見出すことができる。そしてこうした体験の確かな土台がなければ、いくら豊富な情報を与えられても、そこから世界について何一つ知ることはできないだろう。世界像に照らして断片を識別し、そこから世界像をより確実なものとする。こうした全体と部分との往還の中で、次第に現在の状況と自己の位置づけとが明瞭に浮かび上がってくる。実践とはこうした文脈の中においてなされたときに初めて決定的な意味をもち得るのである。