『原典黙示録』第50回(4/17) 講義録

『原典黙示録』第50回 講義録

田中大

本講義も今回で第50回を迎えた。『世界史概説』も含めると第200回ということになる。『世界史概説』の150回の講義には極めて凝縮された形で、人間精神が体験し得る全事象が含まれていたように思われる。これは未来の歴史に言及するための可能性の条件をなす。なぜなら精神をもつ人間の営みが歴史をつくるからだ。本講義はそうした『世界史概説』の成果を『プラハの墓地』というレンズを介しつつ現在と未来へ投射するものである。

今回までの数回の講義では米国政治を中心とする現在の政治状況に関するアクチュアルな問題への直接的言及が中心であったが、これまでの講義の文脈を念頭に置くならば、それは事態の提示や解説を通じてそれを新たに認識するというよりも、既に見てしまっているものを改めて確認する営みであった。先生にとって、現在の状況はdéjà vuにほかならない。

私たちが先生の導きで様々な〈テクスト〉に見て取った神々の争いは、今やグロテスクなイデオロギー闘争として、現実世界に転移した。しかし、どれだけ戦いが激化しようとも、体制的思想に飼い慣らされてしまった男たちは決して戦うことができない。彼らはもはや棄民されるのみである。原典研究所は、こうした世界において戦い抜くための力を鍛える修練の場なのである。

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『原典黙示録』は成就した。現在の政治状況への言及は終わって、次回からはまた『プラハの墓地』の講読へと戻る。

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