1月のフランス語講座では引き続き『方法叙説』第三部を扱いました。今月扱った部分では、デカルトが人間として現実社会を生き抜 くための諸格律をまとめ、いよいよ自らの哲学を大成させる9年間の旅にうつる過程が描かれていました。 自由に考えるために十分な準備をし、生きていくのに必要最低限のことのみを保ち、それ以外には執着せず、自らの学問的探求に至上 の喜びを覚えるデカルトのあり方には強く感銘を受けます。
また今月の範囲に文頭が”Outre que”で始まる文がありました。これは現在の用法では「~の他 には」と従属節を導きますが、明らかにそれでは解釈できません。デカルトの文章は17世紀前半のものであり、当 時のフランス語の辞書が必要です。それをふまえて授業では、これを「それに加うるに」と訳しました。デカルトの思想的背景、生活 の状況もさることながら、言語的状況もまた、考慮することを忘れてはならないのです。
(板尾)