『原典黙示録』第72回(10/2) 講義録

『原典黙示録』第72回 講義録

田中大

かつての『世界史概説』において取り扱われたのは、通時的な原典人文学の領域であった。そしてこの『原典黙示録』においては、その通時的探究を引き受けつつ、共時的な原典地政学の問題の探究がなされてきたといえる。その主題の一つは「共産主義の起源」である。この講義はこの主題の探究に基づく『プラハの墓地』の読解であり、かつ『プラハの墓地』読解に基づくこの主題の探究である。ここにおいて原典人文学と原典地政学は絡み合って一つの大きな流れを形成する。この海流に乗って、われわれは全世界を航海してきた。

これまで原典研究所の蔵書を総動員して先生によってなされてきたのは、『プラハの墓地』というテクストと現実との両方に同時にこの上なく正確な注釈を附すという離れ業である。これは壮絶な知的探究であるが、しかしテクストを読むこととは本来かくあるものでなくてはなるまい。テクストとは現実に対して閉じられたものではあり得ないのだから。

先生の洞察の如く、現在、アメリカをはじめとする世界の国々は思想的内戦状態に入ったといってよい。そして今やこうした観念上の激しい対立は、いつ現実の武力闘争に転化してもおかしくはないのである。激化する対立の中にあって、われわれは決断せねばならない。記述論は、この決断を極限まで鋭く研ぎ澄ます営みである。そして偽善に満ちた体制的思想を切り裂くことができるのは、この決断の鋭利さだけなのである。

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