『原典黙示録』第74回 講義録
田中大
『プラハの墓地』を端緒として〈間テクスト系〉を辿ってきた旅路も、愈々終盤に差し掛かっている。〈間テクスト系〉とは、文字通り〈世界〉の全てだ。ゆえにこの講義は無辺際に広がる諸領域をひたすらに歩み続けてきた。古より書き継がれてきた無数の書物の重量を負い、現在という絶え間なく押し寄せる怒涛の中に身を置かねば、〈意味〉は我がものとならない。頁を繰る手に血がにじみ出してようやく、読解は〈読解〉たりうるのだ。
清潔な〈記号〉の崇拝者たちは、言葉を一元化しようとする。血の赤黒さは、彼らにとっては不潔な異端の色でしかないのだ――それは彼らの内にも流れているはずであるのに!――。ゆえに彼らは〈文化〉に鋒鋩を向け、切り刻んでゆく。それが「無害」になるように。偽善の蠹毒によって〈意味〉は死に、〈精神〉は窒息する。
原典研究所は、常に〈意味〉の源泉たる古来の〈テクスト〉に立ち戻るところから始める。それはただ過去を知ることが目的なのではない。読み手が〈読み手〉になるとき、その意識の中において、全ては現在と、ひいてはその〈生〉と直結するのである。そこにおいてのみ、端的な〈自由〉は兆す。〈実践〉とは、その〈自由〉に裏付けられた〈世界〉への飛翔の異名に他ならない。原典研究所の全ての講義は、この意味で〈実践〉に直結しているのである。