『原典黙示録』第79回 講義録
田中大
今回参照されたのは、M・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』Die protestantische Ethik und der Geist des KapitalismusとW・ゾンバルト『ユダヤ人と経済生活』Die Juden und das Wirtschaftslebenであった。改めて説明するまでもなく、これらはいずれも資本主義成立の要因を究明した論考であり、前者はそれをプロテスタンティズムに、後者はそれをヘブライズムに帰している。
資本主義が如何に成立したかという問題は、現代史を探究するうえで避けて通ることはできないが、先生によって示されたのは、特にヘブライズムを中心に展開される『プラハの墓地』の問題系を念頭に置くならば、ゾンバルトの提示した議論は注目に値するということである。この地点において、原典人文学と原典地政学は交錯する。
世界の現在地を忘れた人文学は、原典地政学の観点から捉え直してはじめて鮮烈な意義をもつ。足元だけを見て歩む軽業の如き地政学は、原典人文学を前提として組み立て直してはじめて鞏固な土台を得る。われわれは重装備で臨まねばならぬ。時は静かに流れるが、歴史は暴風の如く吹きすさぶのだ。特にこの現代においては。『原典黙示録』は、この嵐の中で進むべき進路を指し示す金剛の針である。